Column
2024.12.04
MARKETING
女性マーケティングとは、女性のライフスタイルや価値観、消費行動をリサーチ・分析し、ターゲット層である女性の心を動かす商品やサービスを設計し、
戦略的に広告・販売を行うマーケティング手法です。
近年、女性の社会進出や価値観の多様化、購買力の増加により、消費市場において女性が占める影響力が拡大しています。
それに伴い、単なる「女性向け商品」を提供するだけでなく、ターゲット層である女性消費者の幅広いニーズに応える戦略が求められています。
現代社会の消費者行動において、オンライン/オフラインに限らず口コミが持つ影響力は非常に大きく、
特に女性消費者に対してはその効果が顕著に現れるといわれています。それは、男性と比較すると、
女性はより社会的なつながりを重視し、自分と価値観の近い人や理想とする人の意見や体験を参考にする傾向が強いからです。
この記事では、女性マーケティングの視点から、UGCがどのように購買心理に影響を与えるのか、
またそれをどのようにクリエイティブに落とし込み、マーケティング戦略に活かしていくか、業界別の事例をご紹介しながら深掘りしていきましょう。
「口コミ」とは、商品やサービスに関する消費者の感想や評価が、オンライン/オフラインを問わず他の消費者に伝えられること。
SNSがこれだけ発達した近年では、友人や家族とのリアルの場で伝わる情報よりも、SNSやレビューサイトなど、
インターネット上での口コミが大きなボリュームを占めるようになってきました。
女性消費者にとって、「口コミ」は、もはや情報収集手段以上の存在。リアルな場での友人や家族からの直接的な口コミは、
信頼感を伴い、購入や選択の判断材料として非常に重要視されます。
一方で、SNSなどのインターネット上では、「自分とライフスタイルや環境が似ている」「価値観が似ている」「理想的な存在」など共感が伴えば、
たとえ全くの他人であってもその口コミが大きな影響力をもち、決定要因に。化粧品やファッションなど感覚的な要素が強い商品や業界でその傾向が強いと言えます。
またポジティブな口コミが購買の決定要因になる一方で、ネガティブな口コミには一瞬で購買意欲を削ぐ力もあります。
口コミは単なる意見ではなく、信頼と共感が伴う「共感型情報」として、女性の購買行動に深く根付いているのです。
では、昔からあるいわゆる「口コミ」とUGC(ユーザー生成コンテンツ)にはどのような違いがあるのでしょうか?
UGCと口コミは似ている部分もあり、明確な違いがわかりにくいのですが、以下のように整理することができます。
<UGC>一般のユーザーが商品を使った写真や動画・レビュー・体験談などを作成し、SNSやレビューサイトなどでシェアするコンテンツ全般
<口コミ>商品やサービスについての評価や感想を、友人や家族、またはオンライン上で他の人と共有すること
UGCは企業やブランドが作成して発信する広告やコンテンツとは異なり、体験したユーザーが自主的に投稿したものであるため、
信頼性が高く、共感を呼びやすいという特徴があります。
家計を預かる役割を担うことが多い女性は、商品の品質や価格、長期的な価値を慎重に見極めることを重視する傾向にあります。
こうした「失敗したくない」思考から、特に消費行動においては信頼できる情報を求めるのです。
大きな買い物や高額商品の場合、レビューや口コミを徹底的に調べる、店頭で実物を確認するなど、情報収集に時間をかけることも少なくありません。
「本当に効果があるのか」「使い勝手はどうか」など、自分で納得ができるまで、なかなか消費に至らないことが多いのです。
購入に至るまでには、他者の意見や実体験・感想を重視する傾向もあり、失敗を避けるために信頼できる情報源をフル活用します。
こうしたUGCを活用するという行動は、「安心感」や「納得感」を得るための努力といえるでしょう。
何かを購入する際、女性は特に「共感」を重視する傾向があります。
商品やサービスを選ぶとき、性能や価格だけではなく、自分に合うかどうか、他者の体験談に共感できるかが重要な決定要素に。
そのため、口コミやレビュー、SNSの投稿など、さまざまな意見を積極的に調べるのです。
たとえば、化粧品を選ぶ際には、肌質や肌悩みが似ている人のレビューなど「共感ポイント」が多くある意見に注目します。
共感できる情報は、購入後の満足感にも直結しやすく、自分が納得して選んだという安心感を与えるからです。
女性消費者にとって、UGCは単なる情報収集ではなく、「共感」によって商品を購入する満足感をさらに高める大切な役割も持っているのです。
女性消費者は、売り手側の宣伝や広告だけでなく、「一般消費者」の声を重視する傾向が強いです。
その理由は、CMやPRなどの売り手側の情報は、自分たちの商品を売るために都合のいいことばかりを伝えているかもしれないと感じるから。
一方で、一般消費者の声は、実際の使用体験に基づいたリアルな意見として信頼されやすいのです。
特に、商品やサービスが自分に合うかを見極めるためには、似たような背景やニーズを持つ人の具体的な感想が非常に参考になるからです。
また、購入の失敗を避けたいリスク回避の心理も関係しています。
一般消費者の声には「自分と同じ立場の人が納得しているか」という「共感」の要素が含まれ、それが購入にあたって決定的な要因となることも少なくありません。
女性消費者は、購入した商品やサービスについて、コミュニティ内での共感や共有を楽しむ傾向があります。
たとえば、「これが良かった」「使いやすかった」など、自分の体験を友人やSNSで紹介し、それに共感してもらうことでさらに満足感が高まります。
他の人からの情報を参考にすることも多く、コミュニティ内での情報交換が購買行動の一部となっています。
特に、女性にとって話題の商品やトレンドについて話し合うことは、商品そのものの価値だけでなく、人とのつながりを感じる重要な時間。
こうした行動には、単に買い物をするだけでなく、「共感を通じて楽しむ」という心理が深く関わっています。
このように、女性消費者にとって購買行動は、個人的な体験であると同時に、コミュニティの一員としての楽しみでもあるのです。
近年のSNSの普及により、UGCの影響力はさらに高まっています。特にInstagramやTikTokなどのビジュアルコンテンツを中心としたSNSでは、商品の使用感や効果を視覚的に伝えることができるため、特に女性には使いやすい口コミツールとして、影響力がますます大きくなっています。
例えば、化粧品のレビュー動画が人気を集めている理由の一つは、実際に自分の目で見て確かめることができるからです。消費者はレビュー動画を見ることで、商品の実際の使用感や効果、使用した変化まで確認できるため、納得感が得られ、女性の購買意欲を高めるのです。
また、SNSではハッシュタグやストーリーズを通じて、共感できるUGCが短期間で広がりやすい点が特徴です。たとえば、誰かが投稿した「おすすめ」の商品が多くの人にシェアされ、次々と新たな購入者を生むことも。SNS上のUGCは、リアルな声として信頼されやすく、購入の後押しをする大きな力となっています。
また、インフルエンサーの存在も無視できません。フォロワーの多いインフルエンサーが紹介することで、商品が一気に注目を集め、購買意欲を刺激。インフルエンサーの発信には「自分も同じものを使ってみたい」「このインフルエンサーみたいになりたい」という憧れが生まれるため、女性消費者の購買行動に大きな影響を与えるのです。今やSNSは、共感をつないで消費行動を活性化させる強力なツールとなっています。
肌質や好みによる個人差が大きいため、実際の使用感や効果がリアルに伝わるUGCが購買の決め手に。
また、美容や化粧品は「きれいになる」ことで憧れが生まれやすく、特にインフルエンサーが使用感をデモンストレーションしたり、
ビフォーアフターを紹介することで、共感と憧れが生まれ、多くの消費者がその製品を試してみたいと感じ、購買の決定要因となることも多くあります。
「味」や「品質」といった主観に左右されやすい評価は、商品の信頼性を高める重要な情報源。
SNSやブログでは、食べた感想や調理例、写真付きの投稿が拡散されやすく、視覚的な情報が購買意欲を刺激します。
さらに、UGCは「どんなシーンに合うのか」「子どもにもぴったり」など具体的な活用例やレシピを共有することで、
消費者が商品を身近に感じやすくなります。話題の商品や限定品がSNSで大きな注目を集め、売り切れが続出する現象もUGCミの影響力を表しています。
旅行先の雰囲気や観光スポットの魅力、ホテルの実際のサービスなどは、実際に写真や動画で確認したいもの。
写真や動画が添えられたSNS投稿やレビューは、視覚的にワクワク感を伴い、説得力を持ちます。
「このホテルの朝食が最高だった」「ここの温泉は静かでリラックスできる」などのUGCは、それぞれの体験を具体的に共有することで、
消費者の安心感や期待感を高めます。旅行や観光は高額になることも多いため、信頼性のあるUGCやレビューで不安を軽減できる重要な情報源となっています。
健康やダイエット、トレーニングに関する商品やサービスは、目に見える成果が出るまで時間がかかるため、他者の体験や成功事例が非常に重要。
実際に効果を感じた人のUGCは、リアルで信頼性の高い情報源となります。
SNSではインフルエンサーや一般の女性消費者が自身の健康管理やフィットネスの成果をシェアし、
その過程やビフォーアフターを見せることでより共感が高まります。
また、仲間や同じ目標を持つ人々と情報を共有し合うことで、モチベーションが高まりやすい点も特徴です。
自宅での生活環境を快適にしたい、おしゃれな空間で過ごしたい、身の回りのものにこだわりたい…そんなニーズが強い女性にとって、
実際に使った人の体験を元にしたUGCや評価は購買行動を左右します。
SNSではレビューだけでなく、商品の使い方やインテリアの配置例、活用のアイデアなどが写真や動画とともに視覚的に伝えられるため、より共感を得やすくなります。
このように、女性の購入行動において、UGCは非常に重要な役割を果たしています。
では、実際にUGCを活用した制作事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
弊社では消費者視点を重視したコンテンツ設計に力を入れ、消費者の声を活かしたブランディングや「シェアしたくなる」投稿作成など、
ユーザー自身が自然に参加し共感を持てる施策を展開。UGCを通じてブランド価値を高めることに成功した一例をご紹介いたします。
ホテルステイそのものがサステナブルを体験することができる、GOOD NATURE HOTEL KYOTO様。
「人にも、自然にも、いいものを。」をコンセプトに、ホテル建物自体も WELL認証を獲得されていたり、シャワーの水量やお食事一つ一つ、
ホテルに滞在される お客さますべてに心地いい、サステナブルな時間の過ごし方を提供されています。
そのコンセプトを表す客室は他ハード面だけでなく、滞在中にお楽しみいただけるアクティビティやテラスでの過ごし方など、ソフト面においても、
「そこに行ってみたい、体験してみたい」と感じていただけるようなビジュアル(写真)づくりと、投稿作成を心掛けました。
※現在は既に契約は終了しております。
当アカウントは運用開始から約2年で、約2,000フォロワーから約17,000フォロワーまで増加しました。
ユーザーとのエンゲージメントも比較的高く、コンセプトに共感していただけるフォンとのつながりが作れていたと感じます。
いかがでしたでしょうか? 女性マーケティングにおけるUGCの活用は、単なる情報提供にとどまらず、消費者心理に深く働きかける強力な手段です。 女性消費者にとって「口コミ」は共感や信頼を生む重要な要素であり、SNSの普及によりその影響力は増加の一途を辿っています。 女性ならではの購買行動の特徴を理解し、共感を生むコンテンツを意識することで、ブランドの魅力をより効果的に伝えることが可能になるのです。