Column
2024.09.26
DESIGN
MARKETING
先に結論からお伝えすると、Z世代向けデザインで重要なのは、流行の色や装飾を取り入れることだけではありません。
自分らしさを尊重できる世界観、SNS上で短時間に理解できる情報設計、等身大で信頼できる表現、思わず保存・共有したくなる体験を組み合わせることが大切です。
また、Z世代女性の好みも一つではありません。「かわいい」「POP」「レトロ」「上質」「シンプル」など、ターゲットが大切にする価値観やブランドの目的によって、適した女性向けデザインは変わります。
マーケティングや情報発信において、商品やサービスのターゲットが属する世代の特徴や価値観を理解することはとても重要です。
その理由はターゲットが生まれた年代やその社会的・文化的な背景によって、その思考や行動に特徴があるためです。
古くは団塊の世代から、バブル世代、そしてロストジェネレーション世代やミレニアル世代と、
社会情勢や技術の進歩などを背景に、時代の変化とともに様々な「世代」が登場しました。
現在、消費や情報発信の担い手として注目されているのがZ世代です。
情報発信力が高いZ世代に向けたデザインやマーケティング戦略に悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は他の世代との違いを整理しながらZ世代の特徴や価値観を深掘りし、特にZ世代女性に共感されやすいデザインについて、女性デザイナーが解説します。
「新入社員の考えていることが全くわからない」
「古い価値観を押し付けてくる上司が鬱陶しい」
など、特に職場などの多世代の人が集まる場においては、
このようないわゆる「ジェネレーションギャップ」を 一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
デザインにおいても、「ジェネレーションギャップ」は存在します。若年期を過ごした環境や技術の進歩などの社会的な背景、
また影響を受けたものによって世代ごとに考え方や思考が異なるため、デザインへの感度や共感するものも、世代ごとに自然と異なってくるのです。
デジタルネイティブと言われる、物心ついた時からインターネットが身近にあり、世界中の情報に日常的に触れられる環境で育った世代と、
通信機器といえば電話かFAXという環境で育った世代、社会人以降にスマホが普及し始めた世代とでは、
あらゆる情報の伝わり方や鮮度においても大きな違いが生まれます。思考や行動が異なるというより、
むしろ「常識」が異なっているという表現の方が近いかもしれませんね。
そのため、若い世代に人気のデザインも、異なる世代から見ると「何が良いのか全くわからない」といったことも。
特に女性向けデザインでは、世代の傾向に加えて、ライフステージや価値観、所属するコミュニティによって、共感するコトやモノ、悩み、必要とする情報が多様に変化します。
このことからも、世代ごとの大枠の傾向を捉えながら、より具体的なターゲット像をデザインに落とし込むことが大切だと言えるでしょう。
一つ注意すべきなのは、「〇〇世代=〇〇なデザインが好きなはず」という固定観念や主観だけでトレンドを決めないことです。
WEBや雑誌、色々なものを通して情報収集し、デザインのトレンドを捉えていくことが大切です。
Z世代をより深く理解するために、まずは一般的な世代の分類とその特徴を紹介しましょう。
戦後のベビーブームの世代。学生運動が最も盛んな時期でもあり、高度経済成長の中で社会人となった時代。
バブル経済期の頃は40歳前後の働き盛りで、日本の「右肩上がり」を実感した世代。
高度経済成長の後半に生まれ、日本がバブル景気に沸いた企業の大量採用期に社会人になった世代。
男女雇用機会均等法の施行で働き方にも変化が。「24時間戦えますか?」というキャッチコピーが表すように、
長時間労働や勤務時間外の仕事の付き合いも当たり前のように受け入れられていた時代。
バブル崩壊で「失われた世代」「ロストジェネレーション」とも呼ばれる。正規社員として就職できず、
契約や派遣などの非正規職が急増。社会人になっても業績悪化、経費削減、リストラなどのネガティブワードが多く、危機意識が強い世代。
幼少期から青年期にかけてインターネットや携帯電話が普及し、デジタル環境の変化を経験した世代。
仕事においてはワークライフバランスを重視し、商品やサービスでは所有だけでなく体験や共感を大切にする傾向があります。
家庭にパソコンが本格的に普及しはじめてから生まれ、常にインターネットに触れられる環境で育ったデジタルネイティブ。
テクノロジーやインターネットとの親和性が高いためITリテラシーが高く、SNSを介しての情報収集や発信を得意とする。
Z世代の年代区分には諸説ありますが、本記事では1995~2010年頃に生まれた世代を対象とします。
もともとはアメリカで使われていた「ジェネレーションZ」という世代分類の言葉が、「Z世代」として日本でも定着しました。
そんなZ世代の最大の特徴を、その社会背景も踏まえながら紹介します。
高価なものであっても、自分にとって価値があり、長期的に見てお得であることがわかれば出費を惜しみません。
また、好きなものや応援するものに対しては惜しみなくお金を使う傾向にあり、アイドルやキャラクター、声優やYoutuberなどに
お金を費やす「推し活」を楽しむ若者が多いことも特徴の一つ。
ポイントは、ブランド物や誰でも知っている有名タレントなど「みんなにとって価値が高いとされているもの」を良しとするのではなく、
あくまで「自分にとって価値があるかどうか」。コンセプトやブランドストーリー、パーソナライズされたものや
オリジナリティのあるものをより魅力的だと感じます。
テレビや新聞・雑誌が情報に触れる主な手段だったゆとり世代以上と比較すると、
インターネットの登場により多種多様な情報に触れる機会が格段に多い中で育ったZ世代。
誰もが手軽に発信できるため、様々なメディアにおいて選択肢が多く、「自分に合うもの、自分らしいもの」を見つけやすいといった背景があります。
Z世代の若者は所有することに強いこだわりがなく、「モノ消費」よりも「コト消費(体験)」に価値を感じることが多くあります。
実際に商品に触れたり、その場所の雰囲気をリアルに感じたり、世界観を共有することに価値を感じる傾向が強まっているようです。
これは、手の中のスマホ一つで勉強・ゲーム・動画・ショッピングなど、日常生活からエンターテイメントまで
何でもこなせる世代であることの裏返しなのかもしれません。
また、2020年からのコロナ禍による行動制限の影響を、学生生活の中で色濃く受けたのもZ世代です。
楽しみにしていた高校の修学旅行は「バーチャル旅行」でがっかり。
サークルなど楽しい大学生活をイメージして入学したのに、毎日オンライン授業で家から出ることがない大学生活・・・
など、10代〜20代の約3年という期間を、リアルな場でコミュニケーションを極度に制限されたことへの反動も少なからずあるようです。
幼い頃から世界中の情報にアクセスすることができ、社会情勢や環境問題に触れる機会も多いため、社会問題への意識は高いようです。
また、SNSを通して様々な価値観・趣味を持った人と出会うことができるので、他者の多様性を自然と尊重し、認め合うことができます。
2011年の東日本大震災が起こった時、Z世代の多くは幼少期〜中学生。
日本中が不安に包まれた時代を幼い頃に経験したり、教育現場においても環境問題などの社会的な取り組みが広がっていること、
また社会的弱者やマイノリティーの人ともSNSを通じて直接やり取りができることから、
環境や貧困などの社会問題を他人事と考えず、自分の問題として捉えて行動する人も多くみられます。
ネットリテラシーが高く、ソーシャルネイティブなZ世代は情報収集においてもSNSを活用しています。
動画コンテンツやSNSプラットフォームを中心に情報を収集し、レビューやインフルエンサー、実際に商品を利用した人の意見を参考にします。
Z世代は「デジタルネイティブ」と呼ばれているように、物心ついた時からインターネットが身近にあった環境で育っているため、
情報へのリテラシーが高く、あたりまえのようにインターネットから情報収集を行いますが、
テレビや新聞などは「自分に興味がない情報が含まれている」と考える人も多い傾向に。
自分にとって有益な情報、欲しい情報だけを得やすいWebで、YouTube・TikTok・Instagramなど様々なSNSを駆使し情報収集。
常にたくさんの情報が溢れているため情報に対する警戒心も強く、自分にとって必要な情報かどうかを見極めることを重視する傾向にあります。
リスク意識やコスパ・タイパ重視の観点から「情報サイト・SNSを見てしっかり比較検討してから購入する」
「フリマサイトなどを使い、よりコストパフォーマンスの良い消費をする」などの消費行動が特徴です。
SHIBUYA109 lab.が15~24歳を対象に実施した調査では、新商品の認知経路の上位をSNSが占め、女性の約70%がInstagramで新商品に出会うと回答しています。また、約60%にインフルエンサーが紹介した商品の購入経験があり、女性はInstagramや口コミアプリなどで利用者の声を事前に調べる傾向も示されました。
参考:SHIBUYA109 lab.「Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査」
Z世代女性と一言で表しても、好みや価値観を一つにまとめることはできません。一方で、女性向けの商品やサービスを企画する際には、デジタルやSNSが身近な環境で育ったことによる情報行動や、自分らしさを大切にする姿勢を理解することが重要です。
知名度や世間一般の評価だけではなく、「自分に合っているか」「自分らしくいられるか」を重視する傾向があります。デザインでも、誰にでも同じ憧れを提示するより、多様な選択肢や自分に重ねられる世界観を用意することが共感につながります。
InstagramやTikTokなどで商品を知り、口コミ、レビュー、使用感、価格などを複数の情報源で確認してから判断します。見た目の美しさだけではなく、商品を使う場面や利用者の体験が具体的に伝わる設計が必要です。
推し活や趣味のコミュニティに見られるように、自分の「好き」を表現し、同じ価値観を持つ人と共有することも大切にしています。写真を撮りたくなる、保存したくなる、誰かに教えたくなるといった行動まで考えることで、デザインがブランドとの接点を広げます。
Z世代女性が好むデザインは一つではありません。POP、レトロ、ストリート、上質、シンプルなど、商品やブランドのコンセプトに応じて様々な方向性が考えられます。色や装飾を先に決めるのではなく、誰にどのような気持ちになってほしいかを整理することが出発点です。
画一的な理想像を提示するのではなく、異なる価値観やスタイルを肯定できる表現を取り入れます。診断、カスタマイズ、複数のビジュアル展開など、自分に合うものを選べる体験も効果的です。
小さな画面でも重要な情報がすぐに伝わるよう、見出し、写真、短いコピーにメリハリをつけます。情報量を減らすだけでなく、スクロールしながら内容を理解できる順序や、次の行動が分かる導線を設計することが大切です。
完成されたイメージだけでなく、利用シーン、制作背景、スタッフやユーザーの声などを見せることで、商品やブランドを身近に感じてもらいやすくなります。広告らしさを抑えることが目的ではなく、判断に必要な情報を誠実に届けることが重要です。
写真に残したくなるビジュアル、あとで見返せる情報、友人に送りたくなるコンテンツなど、閲覧後の行動まで考えます。WEBサイト・SNS・店頭・パッケージの世界観をつなげることで、ブランドの印象も蓄積されやすくなります。
Z世代向けデザインでは、表面的なトレンドを取り入れるだけでなく、ターゲットの価値観とブランドの個性を結びつけることが大切です。ここからは、「自分らしさ」「多様性」「共感」をデザインへ落とし込んだ参考事例をご紹介します。
自分の自信に繋がる美肌と酸素のヒミツを楽しく学ぶ
自分らしさの尊重やジェンダーレス(フリー)の動きがますます加速し、より多様な個性へ注目が集まっています。
イプサ「ME」はそのような時代の個性あふれる肌に寄り添い、自信に繋がるうるおいと透明感のある肌へ導く、
イプサの原点を凝縮した唯一無二の化粧液。 “NEOかわいい”、“コンプレックスはアートなり”というコンセプトを掲げて活動している「CHAI」とコラボレーション。
個性を大事にし、セルフラブが人生のテーマと話す彼女たちが「MEのコンセプトはまさにCHAIそのもの」と
商品との親和性に共鳴したことで今回のコラボレーションが決定。
「ME PLAY LAB」は、全16種類の「ME」で”個性“の美しさを引き出し、自分だけの”NEOかわいい“を見つけることをコンセプトに
「CHAI」が登場する漫画や動画、オリジナルソングを公開。
◆「CHAI」と漫画で知る!美肌と酸素のヒミツ
◆「CHAI」がお店で体験(ムービー)
◆「CHAI」インタビュー(ムービー)
◆ME PLAY LAB テーマソング by CHAI
◆元美容部員でshabon編集長のちばさんによるME体験(動画)
ターゲット目線に寄り添った言葉や、思わず入り込みたくなる世界観の構築。
「全員違って当たり前」というメッセージとともに、個性あふれる自身の肌と向き合う。
自分にぴったりの商品を提案、より「自分向け」/特別感を感じてもらう
⚫︎全体的に軽やかなタッチとポップな色彩構成
⚫︎ニューレトロ&シティーポップ風なイラスト
⚫︎ノスタルジックな80年代風と現代の可愛さをうまくミックス。
⚫︎レトロ調でありながら新しい感性を取り入れたサイト
⚫︎レトロな要素をうまく取り入れることで、サイト全体に温かみ、ユニークさをプラス
リブランディングにあたり、ターゲットである20代にアンケートやインタビューを実施した結果、メイクアップ化粧品の選択基準については、
「流行を取り入れたい」よりも「自分らしさを大切にしたい」「自分にとっての心地よさ」という価値観でした。
こうした背景をふまえ、『ファシオ』は「外見だけでなく、内面も健康でいたい、等身大でいることを大事にする20代前半のお客さま」を
コアターゲットに、「わたしらしさ」を大切にするユーザーに寄り添えるブランドを目指し、リブランディングを実施。
2000年のブランド誕生当初から受け継がれてきた“メイクが落ちない”高機能はそのままに、
一人ひとりの肌やまつ毛にやさしく“なじむ”、ありのままの美しさを引き出すブランドへと進化。
「わたしらしさ」を感じるブランドへと生まれ変わりました。

パッケージのニュアンスカラーは、少しくすんだ色あいにすることで、
リラックス感のある、「わたしらしさ」に寄り添うやさしい雰囲気を演出。
店頭は、ドレッサーのような大きな鏡で、まるで自分の部屋にいるように、
くつろぎながら商品を選べる空間となっているという。
⚫︎全体的にニュアンスカラーを採用、落ち着きのある華やかさ、自然な女性らしさを演出
ニュアンスカラーとは複数の色味が混ざったような曖昧な中間色のことを指します。
赤、緑、黄色などの原色、ビビッドカラーや蛍光色、パステルカラーなどの鮮やかで明るい色とは異なり、
全体的にくすみがかったような色合いが特徴です。
⚫︎わかりやすくシンプルなサイト構成
SNS上での視認性も高め、無駄なくシンプルに、かつスマートフォンなどの限られた画面でも読みやすい設計。
インタビューコンテンツもあるので、ただオシャレというだけでなく、機能性も考えられたサイト構成になっています。
NORMでは、スカパーJSAT株式会社様・ぴあ株式会社様が展開する「五季十色占い」のWEB診断サービスLPと診断ビジュアルを制作しました。
診断結果ごとに異なる10属性の世界観を、色・モチーフ・質感・文字組み・余白のバランスで表現。ユーザーが結果を見た瞬間に「自分らしい」と感じられることに加え、画像として保存したり、SNSで共有したりする場面まで想定しています。
「自分に合う結果を選び取れるパーソナライズ」「愛着を持てる世界観」「共有したくなるビジュアル」は、Z世代向けデザインを考えるうえでも重要な要素です。
「五季十色占い」WEB診断サービスLP・診断ビジュアル制作の実績を見る
NORMでは、女性の年代やライフステージ、価値観まで整理したうえで、WEBサイト、LP、SNS、広告などのデザインをご提案しています。Z世代女性に向けた商品・サービスの見せ方にお悩みの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
Z世代女性を一つの人物像としてまとめることはできませんが、SNSを使って商品やサービスを知り、口コミや利用者の声を確認しながら、自分の価値観に合うものを選ぶ傾向が見られます。知名度や流行だけではなく、自分らしさ、共感できる世界観、価格や機能への納得感など、複数の要素を比較しながら判断することが特徴です。
「Z世代女性向けなら、この色やテイスト」と一つに決めることはできません。かわいい、POP、レトロ、ストリート、上質、シンプルなど、ブランドが伝えたい価値とターゲットの興味によって適した表現は変わります。見た目のトレンドだけでなく、誰にどのような気持ちになってほしいかを整理してデザインへ落とし込むことが重要です。
「若者向けだから派手にする」「女性向けだからピンクを使う」といった固定観念だけでデザインを決めることは避けた方がよいでしょう。また、見た目を整えるだけで、商品を選ぶために必要な情報や利用者の声が不足していると、共感や信頼にはつながりにくくなります。ターゲットの価値観と情報行動を理解し、世界観と分かりやすさを両立させることが大切です。