Column

2026.06.17

DESIGN

MARKETING

Z世代の特徴と価値観は? 「流行色」ってどう決まっている?

 

 

「流行色」って、どう決まっている?

 

前半では、α世代・Z世代・ミレニアル世代に向けたWebサイトの事例をもとに、共感されやすい色づかいの傾向を探りました。
ビビッドで強く印象に残る色よりも、ナチュラルでやわらかく、余白を感じさせる配色や
「映える」ことだけを目的にするのではなく、見る人の暮らしや気分にすっとなじむような色が、Webデザインでも多く見られるようになっています。

 

特に「くすみカラー」は、グレーを含んだ彩度の低い落ち着いた色合いで、主張しすぎず、空間や人に自然に溶け込むのが特徴です。
PCCSの色体系で見ると、ライトグレイッシュやグレイッシュ、ダル、ソフトといったトーンに近く、やわらかさ・穏やかさ・洗練された印象を与えます。
また、日本には江戸時代の「四十八茶百鼠」に見られるように、微妙な色の違いやグレーの奥行きを楽しんできた文化があります。
派手な色で目立つのではなく、控えめな色の中に個性を込める感覚は、現代のくすみカラー人気にも通じるものが。
Z世代やミレニアル世代においても、「とにかく目立つ」より「まわりと調和しながら、自分らしさをさりげなく出す」ことが重視される傾向に。

コスメやファッション、インテリアでも、素肌感・透明感・抜け感・ナチュラルさといったキーワードが支持されており、くすみカラーはそうした価値観と相性のよい色だといえます。

 

 

では、こうした「今っぽい色」や「なんだか惹かれる色」は、どのように生まれているのでしょうか。

 

実は、色のトレンドには、世界的な流れや時代背景も大きく関係しています。
「流行色」とは、自然に生まれるだけではなく、世界規模で計画的に発信されているもの。
流行色は、パリに本部を置く国際機関「インターカラー(国際流行色委員会)」によって方向性が提案され、
日本では一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が、その時代を象徴するカラーを毎年発表しています。
つまり、「流行色」とは単なるブームではなく、「今の時代に、人々が何を求めているのか」を映し出す象徴でもあるのです。

 

2025年のテーマカラーは「静かな豊かさ」

 

Pantone(パントン)社が発表した2025年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」は、温かみのあるブラウン「モカムース(Mocha Mousse)」でした。

 

 

派手さや強いインパクトではなく、落ち着きや安心感、自然体の上質さを感じさせるカラーです。
Pantoneはこの色について、“思慮深い贅沢さ”や“気取らないクラシック”という言葉で表現しています。
まさに、昨今の「くすみカラー」人気ともつながるような、“静かな豊かさ”を感じる色といえるでしょう。

 

 

また、日本流行色協会(JAFCA)が発表した2025年の色は「ホライゾングリーン」。

 

 

深い森や海を思わせる青みを帯びたグリーンには、“混沌とした時代を冷静に見つめ、その先の希望へ向かう”というメッセージが込められています。
SNSやAIなど、情報があふれる時代だからこそ、人々は自然や穏やかさ、安心感を感じられる色を求めているのかもしれません。

 

とはいえ、色の感じ方や「好き」の基準は世代によってさまざま。
本コラムでは、α世代・Z世代・ミレニアル世代、それぞれの感性にフィットする実際のWEBサイト事例をもとに、
どんな色づかいがその世代の「好き」をつかみ、共感を得ているのかを読み解いていきます。

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2026年は「柔らかな白」がトレンドカラーに。

 

Pantoneが2026年のテーマカラーとして発表したのは、「Cloud Dancer(クラウドダンサー)」という柔らかなホワイト。

 

 

Pantoneはこの色について、「騒がしい世界の中で、静けさと余白を与える色」と表現しています。
現代人は、SNSやAI、ショート動画など、日々大量の情報にさらされています。
次々と流れてくるニュースやトレンド、常に「見られること」を意識するSNS。
そんな環境の中で、人々は自然と「刺激」よりも「余白」を求めるようになってきているのではないでしょうか。

 

実際に近年のインテリアやプロダクトデザインでも、
・オフホワイト
・グレージュ
・アイボリー
・ミストカラー
・淡いニュアンスカラー
といった、“存在感を主張しすぎない色”が増えています。

 

これは単なる流行ではなく、「頑張りすぎない」「心地よく暮らしたい」「自然体でいたい」という価値観の変化を反映しているともいえるでしょう。

2025年のモカムースは、温かみや安心感のあるブラウン系の色でした。
一方で、2026年のクラウドダンサーは、主張を抑えたホワイト系の色で、よりシンプルでミニマルな方向性を感じさせます

 

 

2026年のトレンドカラーから見える価値観の変化

 

また、Pinterestが発表する「Pinterest パレット」も、近年の色のトレンドを知るうえで参考になります。

 

2025年のPinterestパレットでは、Cherry Red、Butter Yellow、Aura Indigo、Dill Green、Alpine Oatの5色が選ばれていました。
やわらかなイエローやニュートラルカラーが含まれる一方で、チェリーレッドのような印象の強い色もあり、
全体としては「日常になじむ色」と「アクセントになる色」が混在していました。

 

 

2026年のPinterestパレットでは、クールブルー、ジェード、プラムノワール、ワサビ、パーシモンオレンジの5色が選ばれています。
2026年は、クールブルーやジェードのような落ち着いた色に加え、ワサビやパーシモンオレンジのような鮮やかな色も含まれている点が特徴。

 

 

近年続いてきた“なじみやすさ”の流れをベースにしながらも、少しずつ気分を上げる色や、印象に残るアクセントカラーへの関心も高まっている印象です。
このトレンドの変化は、JAFCAが2026年の色「ハートフェルト・ピンク」で示している、「静」から「動」へという流れとも重なります。

 

 

落ち着きや安心感を求める傾向は続きつつ、そこに明るさや前向きさ、少しの刺激を加える。
2026年のカラートレンドは、“ただ静かな色”ではなく、生活になじむ色をベースにしながら、気分を動かす色をどう取り入れるかがポイントになりそうです。

 

 

なぜ若い世代ほど「静かな色」に惹かれるのか

特にZ世代やミレニアル世代は、子どもの頃からSNSやインターネットが身近な環境で育ってきました。だからこそ、
・情報が多い
・選択肢が多い
・比較されやすい
という時代特有の疲れも抱えています。

 

その反動として、
・くすみカラー
・ナチュラルカラー
・アースカラー
・オフホワイト
のような、心を落ち着かせる色に、心地よさを感じる傾向があります。
実際に人気ブランドや話題のカフェ、コスメやインテリアを見ても、
・「映える」より「落ち着く」
・「目立つ」より「なじむ」
そんな方向へ少しずつシフトしていることがわかります。

 

色は単なるデザインではなく、その時代を生きる人たちの不安や期待、そして「こうありたい」という願いまで映し出しています。
だからこそ、流行色を見ていくと、その時代の価値観や空気感まで見えてくるのです。

 

 

懐かしいのに新しい。レトロブームの背景

 

ここ数年、「Y2K」「平成レトロ」「昭和レトロ」といった、懐かしさを感じるデザインやカラーが再び注目されています。
流行には、約20年周期で過去のスタイルが回帰するという考え方があります。
過去に流行したファッションやデザインが、時間を経て「新しいもの」として受け入れられ、現代の感覚でリバイバルされていく流れです。
背景にあるのは、「エモさ」や「ノスタルジー」。変化が激しく、先の見えにくい時代だからこそ、人はどこか安心感のある「懐かしい空気」に惹かれやすくなっているのかもしれません。
また、若い世代にとっては、平成や昭和のデザインは必ずしも「懐かしいもの」ではなく、むしろ「見たことがあるようで新しい」ものとして映ります。
若い世代ならではの心の揺らぎや、感動、はかなさなど言葉にしづらい気持ちを表現することで、 共感を得られることも。
そのため、当時の色づかいやフォント、装飾感が、今のデザインやSNSの世界観の中で再解釈され、新しい魅力として楽しまれているのです。

 

 

Y2K:未来への憧れを感じるカラー

Y2Kとは「Year 2000」の略。
2000年前後に流行したファッションやカルチャーを指します。
ビビッドなピンクやパープル、メタリック素材、サイバー感のある世界観など、“未来へのワクワク感”が特徴です。
最近ではK-POPアイドルの衣装やMVにも取り入れられ、再びZ世代の間で人気が高まっています。

 

 

ニュートロ:レトロだけど、新しい

韓国発の「ニュートロ」は、“NEW”と“RETRO”を掛け合わせた言葉。
レトロな雰囲気の中に、現代らしい抜け感やポップさを取り入れたデザインが特徴です。
パステルカラーやネオン風のタイポグラフィ、シティポップ感のあるイラストなど、“懐かしいのに今っぽい”絶妙なバランスが、多くの若い世代の共感を集めています。

 

 

平成レトロ・昭和レトロも人気に

平成ギャルのようなキラキラ文化や、少し“ダサかわいい”フォント。
純喫茶やクリームソーダ、昭和のパッケージデザイン。
かつては“古い”とされていたものが、今は“新鮮”で“かわいい”ものとして再解釈されています。
特に若い世代は、「完璧に洗練されたデザイン」よりも、少し余白があったり、少し抜け感のある世界観に魅力を感じる傾向があります。

 

 

「映え」から「なじむ」へ

以前はSNSで共有したくなるような「映える」色やデザインが注目されてきました。
写真にしたときのインパクトや、ひと目で印象に残る華やかさは、Webデザインや商品パッケージにおいても重要な要素のひとつでした。
一方で近年は、色やデザインに対しても、強い視覚的インパクトだけでなく、
「暮らしになじむこと」「自分らしく取り入れられること」「見ていて落ち着くこと」が重視されるようになっています。
くすみカラーやナチュラルカラー、アースカラーが支持されているのも、こうした価値観の変化と関係しています。
鮮やかな色で強く印象づけるよりも、空間やファッション、プロダクトの中で自然に調和し、使う人の気分や生活に寄り添う色が選ばれやすくなっています。

 

色は、ただ見た目を飾るものではなく、その時代の空気や生活者の気分を反映するものです。
だからこそ、「今っぽい色」を知ることは、今の人たちが何を心地よいと感じ、どのような空気感に共感しているのかを知る手がかりにもなります。

 

 

なぜ、女性は「流行色」に惹かれるの?

流行色は、単に「今年らしい色」「人気のある色」というだけではありません。

その時代の空気感や、人々が求める気分、暮らしの価値観を映し出すものでもあります
特にファッションやコスメ、インテリアなど、日常の中で「色」を選ぶ機会の多い女性にとって、
色は自分らしさを表現する身近な手段です。
新しい色を取り入れることで、気分を変えたり、
今の自分にしっくりくる雰囲気をまとったりすることができます。

 

最近のトレンドであるくすみカラーも、派手に目立つための色というより、
暮らしや空間に自然になじみながら、さりげなく個性を伝える色。

そこには、「強く主張する」よりも「心地よく調和する」ことを大切にする、今の感覚が表れているように感じます。

 

デザインの視点から見ても、流行色を知ることは、単に「色」を選ぶためだけではなく、
消費者が何に共感し、どんな印象を心地よいと感じているのかを読み解くヒントになります。
Webサイトや広告、ブランドづくりにおいても、色は第一印象を左右する大切な要素。
だからこそ私たちは、流行色を「目を引くための色」としてではなく、
届けたい相手の気分に寄り添い、世界観を自然に伝えるための色として捉えています。